第37回AF-Forum

「ロバートソンの思い出を語る」

誰にでも、尊敬する人と憧れの人がいると思う。私の場合は尊敬する立派な先生は10人以上おられるが、憧れの人はLeslie Robertson唯一である。1970年代に日本にこられたときに講演を聴いたときに始めてお会いしたと思うが、US Steelビルのハット構造のお話をゼスチャーたっぷり楽しそうに話してくださった。この頃には、New YorkのWorld Trade Centerの工事も進んでいたと思う。1980年に初めてNew Yorkに行ったときに事務所を訪ね、そのご何度も訪問し、日本に来られたときにもお会いすることができた。残念なことに、今年の2月11日に92歳でご逝去されてしまった。本当に悲しいし、もし天国に行けたら、是非お会いしたい。
ロバートソンさんに、もっともっと懇意にされた方々がアメリカにも日本にもたくさんおられる。これらの人にネットを通して集まっていただき、6月12日(土曜日)の午後1時から、ロバートソンの思い出を語る会を開くことにしました。ネット配信いたしますので、多くの方に試聴していただきたいと思います。(和田章)
Leslie E.ロバートソンアソシエイツ

モデレーター:中田捷夫・和田 章
パネリスト:斎藤公男、池田一郎、木村 功、竹内 徹、土橋 徹、中島秀雄、迫田丈志、堀田祐介、島田博志、石倉 敦
日時:2021年6月12日(土)13:00~15:00
会場:オンライン(Zoom)

プログラム
中田捷夫からご挨拶    動画
斎藤公男(A-Forum代表、日本大学名誉教授)    動画
池田一郎(元Skilling Helle Christiansen Roberson社)    動画
竹内 徹(東京工業大学教授)    動画
土橋 徹(森ビル株式会社)    動画
中島秀雄(小山工業高等専門学校建築学科教授)    動画
迫田丈志(堀江建築工学研究所)    動画
堀田祐介(三菱地所設計構造設計部)    動画
島田博志(大成建設設計本部国際設計部担当部長)    動画
石倉 敦(清水建設株式会社設計本部)    動画
中田捷夫(㈱中田捷夫研究室設立    動画
木村 功 (元新日本製鐵(現日本製鉄)・日鉄エンジニアリング)    資料「 Miho Museumとその周辺施設―建築へのこだわり」「WTCの建設記録」

※概要欄より各講演の開始時間表示があります。

パネリストとロバートソン氏

斎藤公男 (A-Forum代表、日本大学名誉教授)
1938年 生/1963年 日本大学大学院修了(坪井善勝研究室)/1991年 日本大学建築学科教授/2007年 日本建築学会会長(第50代)
1972年 池田一郎氏の案内でS.H.C.R.(シアトル)事務所訪問。ロバートソン氏の作品を訪ねて米国を旅行。/ 1993年 ロバートソン氏と共に第3回松井源吾賞を受賞。

池田一郎
1967年 日本大学理工学部建築学科修士課程卒業、同年 米国州立ワシントン大学工学部入学/ 1969年 米国州立ワシントン大学卒業(Master of Science in Civil Engineering)、同年 Skilling Helle Christiansen Roberson社(現:Magnusson Klemencic Associates)へ入社(~2008退職)
ロバートソンが SHCRシアトル 事務所(1967 -1982頃)のパートナーの一人でいた時に入社。

木村 功 (元新日本製鐵(現日本製鉄)・日鉄エンジニアリング)
1979年東京工業大学大学院修了、同年新日本製鐵入社
1984年I. M. Pei氏、Robertson氏設計の中国銀行香港支店プロジェクトに従事

竹内 徹 (東京工業大学教授)
1984年 東京工業大学大学院修了、同年新日本製鐵入社/1990-1992 Ove Arup & Partners London 派遣勤務/2003-現在 東京工業大学 建築学専攻 助教授、教授
1994-1997 L.E.Robertson氏に指導を受けながら香港・中環中心設計に従事

土橋 徹 (森ビル株式会社)
1959年生/1984年森ビル株式会社入社
森ビルは1990年、中国上海市浦東地区の中でも、アジアの国際金融センターと目されている陸家嘴金融貿易中心区に世界最高水準の一大拠点の開発を開始。着工後、アジア経済危機で工事一時中断後、ロバートソン氏に参画頂き合理的な構造計画を取込み、さらなる高層化を決定(高さ492M:当時世界第1位)、2008年竣工させることが出来ました。(上海環球金融中心 )

中島秀雄 (小山工業高等専門学校建築学科教授)
1988年から2年間LERAで修業しました。当時は香港の中国銀行が建設中で、Puerta de Europa の計画が始まり自重による水平方向の変形をプレストレスで引き戻す検討などをやりながら、設計者とのコミュニケーションのとりかたなど仕事をまとめる(get things done)ための心構えのようなものを教わりました。教員になってからもいろいろアドバイスをいただき、まさに人生の先生のような存在でした。

迫田丈志(堀江建築工学研究所)
不動建設より27歳からの2年間(’98~’00)LERAにて研修し、米国・ドイツ・中国などにおけるプロジェクトに携わりました。I.M.Pei氏との打合せやWestern Ontario 大学での風洞実験等、貴重な経験をさせて頂きました。夏の別荘でのパーティー、Lesご自慢のスポーツカーでのドライブ、第一子のNYでの出生にお力添え頂き、師であり優しい父でした。

堀田祐介 (三菱地所設計構造設計部)
2004年 三菱地所設計勤務入社
2012年10月より1年間 NYオフィスに企業留学生として滞在。2012年12月を以てロバートソン氏がNY事務所から引退したため最後の日本人留学生となります。研修途中にロバートソンの部屋はなくなりましたが、引き続き事務所にはおられ、解析プログラムが隆盛の中で応力図や荷重伝達経路を手書きによって図化する大切さ、規模の大小を問わず手計算で概略設計をする大切さを教わりました。

島田博志 (大成建設設計本部原子力設計部副部長)
1988年 東北大学大学院修了、同年大成建設㈱入社、大成建設では設計本部にて、大空間施設、生産系施設、原子力施設他の構造設計に従事/2018-現在 同社国際設計部にて海外PJの構造設計に従事 1994-1995年 NYのLERA事務所にてRobertson氏のもとで海外研修

石倉 敦 (清水建設株式会社設計本部)
2000年 清水建設入社/2008年~2019年までは主に海外案件の構造設計に従事。
2010年1月~2011年1月までLERAに企業留学。留学中は主にLotte World Towerの基本設計に携わり、ロバートソンより進行性崩壊の考え方などについて直接指導を受けた。

中田捷夫
1940年大阪府堺市生れ、80歳、1966年 日本大学大学院修士課程修了、坪井善勝研究室に奉職、1990年坪井善勝博士の逝去に伴い、㈱中田捷夫研究室設立、現在に至る
技術士(建設部門)、工学博士(応用弾性学)、岡本太郎記念財団理事、東京理科大嘱託教授(3年間)など

和田 章
1946年岡山県生まれ、1968年東京工業大学卒業、1970年同大学院修了、1970年-1981年日建設計、1982年-2011年東京工業大学助教授・教授、2011年-2013年日本建築学会会長