構造設計はさまざまな知見を工学的に解釈して、建築物の構造安全性を達成する技である。高い専門性を有する。建築物の地震被害や強風被害を考えるときに、地震動や強風そのものも含め、さらには、地震や強風を受けたときの構造体としての挙動を評価するための研究が地震工学や風工学として蓄積されている。日本建築学会による建築物荷重指針にはそれらの成果が反映され、ほぼ10年ごとに改訂がなされている。その都度、改定の趣旨が書かれているが、あらためて、地震工学や風工学の成果がどのように設計荷重評価に反映してきたかについて、パネリストに話題提供いただき、それら研究成果が耐震性、耐風性の性能向上がどのように展開しているか、さらには、今後どのような研究が求められるか、議論したい。パネリストのお二人は、それぞれ、長年、地震工学分野、風工学分野で研究されているのみならず、その分野の全体像についても通じておられ、建築物荷重指針の改訂にあたっても中心的役割を果たして来られた。
建築基準法における耐震性や耐風性の位置づけとしては、大正関東地震(1923年)や室戸台風(1934年)が基礎になっているが、1998年改正で、性能規定化という位置づけのもと、施行令・告示が整備されている。一方で、構造安全性に対する社会的要求に対しては、十分に応えられているといえるのだろうか。建築物の高層化の影響や地盤特性の反映といった意味で詳細なモデル化が可能になって来たものの、それが構造安全性の質にどれだけ貢献できているか丁寧な議論がされていると言えるだろうか。構造設計者は、地震工学や風工学のどのような研究成果を自らの知見としてどのように取り込むことで、より質の高い構造設計が可能となると考えているだろうか。研究による知見の蓄積と実務における専門性との関係を、議論するフォーラムを企画しました。大勢のご参加をお待ちします。 (神田順)