コーディネーター:金田 勝徳
パネリスト:
山本理顕(山本理顕設計工場 代表)、布野修司(日本大学 特任教授)、小栗新(アラップ プリンシパル/東アジア事業部 取締役/日本における代表者)
日時:2018年4月24日(火)17:30~19:30
場所:A-Forum
参加費:2000円(懇親会、資料代)
昨年12月のA-Forumメールマガジン[第46号]のエッセイ欄で「設計・監理報酬の不思議」と題した拙稿を掲載しました。そこでは現在、国交省によって改正作業進められている「設計、工事監理等に係る業務報酬基準(告示15号)」が、官・民問わずほとんど遵守されていない実情をレポートしました。
レポートでは、その背景に知的創作活動の成果に正当な価値を認めない不条理が、日本社会に根強く横たわっているのではないかと推測しています。執筆しながら、図面がCAD化される以前の時代に、たびたび「紙と鉛筆だけしか金が掛からない設計図が、どうしてそんなに高いのか」と設計料の値下げを迫られたことを改めて思い起こしました。手書からCADへと図面の様式は変わっても、社会の根底にある思考様式はたいして変わっていないように感じます。
同じエッセイで、コンペ・プロポの場合の非合理性にも触れました。プロポでは、ほとんどの場合、設計業務の内の基本構想ないしは基本計画に相当する成果品の提出が求められます。更にコンペと名がつけば基本設計相当レベルの資料の提出が求められます。そして、これ等の多くが無償、ないしは、現地までの交通費程度の参加報酬で実施されています。さらにこれまで公共建築の設計者選定の際に行われていたこれ等一連のことが、近年民間の建築までに及んできて、設計者の消耗の度合いは深まるばかりです。
こうしたことが続くなら、設計という仕事が生業として真っ当な形で成り立つはずがありません。この状況を放置したままの告示15号改正に何ほどの意味があるのかを考える時、虚しさを感じるばかりです。そこで今回のForumでは、設計・監理報酬のあるべき姿を模索し、どうすれば現状を変えられるかについて、豊富な体験とご意見をお持ちの3人のパネリストをお招きして、皆様と共に考えたいと思います。より多くの皆様のご参加をお待ちしております。
(金田勝徳)