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アトリエ事務所と中小企業の設計事務所が呼ばれるようになったのは1963年の「磯崎アトリエ」の誕生からであり、アトリエ事務所の労働環境が厳しいものであることが囁かれるようになったのもこの頃からだと思われる。
しかし、近年ではその考え方が大きく変わってきている。
多くの設計事務所では人材不足の問題もあり、働き方や取り組み方も大きく変化している。
今回お招きしたアトリエ事務所のmiCo.は、妹島和世建築設計事務所/SANAAを経て2008年にmiCo.共同設立した設計事務所である。micoは独立した設計者から成るひとつの建築集団を目指しており、関わる全ての人々と一緒に、環境や世界と共に生きる建築を作ることをテーマにして、リノベーションなどの小さな仕事からスタートした若手建築家である。
東玉川アパートメントの移転先のオフィスでもコロナなどの社会情勢に合わせて柔軟に対応しており、食事するスペースと仕事をするスペースが大きなテーブルを2つおくことでつかいかたに余白をつくり、miCo.の目指している「個性のあるフレキシブルなチーミング」を体現している。
今回は近作の話をうかがうことで、彼らの思想や考え方について深く掘り下げながら、これからのアトリエ事務所の設計をめぐる環境づくり、そしてそれが生む建築について議論したい。
(香月真大)