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公共事業におけるプロポーザル方式では、行政担当者が外部コンサルや外部委託の運営委員などを募り行政側の要望や予算を入れたうえで、応募要綱・参加条件などを策定する。近年のプロポーザルの提案書を見ると、実現可能で施主の予算通りに施主の要望をかなえる応募要項をみたした落ち着いた案が選ばれることが多い。
そんな中、長野県ではこれからの学びにふさわしい県立学校をつくろうという取り組みとして「県立学校学習空間デザイン検討委員会」を設置し「長野県スクールデザインプロジェクト(NSDプロジェクト)」を立ち上げた。
第29回AB研ではNSDプロジェクト「若槻養護学校施設整備基本計画」プロポーザルにて最適候補者に選定されたCOA 一級建築士事務所の岡野道子氏と長曽我部亮氏をパネリストに、コメンテーターとしてNSDプロジェクトの検討を行った「県立学校学習空間デザイン検討委員会」委員長赤松 佳珠子氏(法政大学デザイン工学部教授 (株)シーラカンスアンドアソシエイツ代表)をお招きする。
岡野と長曽我部は伊東事務所の所員時代から、川口市や今治市、岐阜県、茨木市などで、多くの公共事業に携わり、東北や熊本では「みんなの家」プロジェクトを進めてきた事から、行政との協働にもたけた若手建築家である。ここでいう公共とは行政の建築仕事ではなく、公道や私有地ともに含まれるべきであり、お互いに連携なくして魅力的な街並みは形成不可能である。COAの活動通して、公共と建築家の役割を議論したい。