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国内の公共建築はほぼ9割が入札、残りも実績偏重のプロポーザルで、若手・アトリエはほとんど参加できない。ごく稀に敷居の低いコンペがあれば何百もの案が殺到する状況で、当選者以外は出すだけで疲弊する。こうして「公共建築の設計者は、公共建築の実績をもって募集され、評価される」という現況においては「公共建築の実績を1つでも作らないと、次の公共に挑戦すらできない」というサイクルができており、この状況が今後も続けば、将来的には公共建築の経験をもつ層が薄くなり、発注者側にとっても選択肢が激減していくため多様性・公共性が少なくなり、建築家側だけではなく、社会にとって不利益だと思われる。---相坂研介氏はJIAの常任幹事として、このような熱い想いと幾つもの目的を胸に、発注者支援の仕組みづくりの必要性を訴え、品川区大井町駅の公衆便所建替え事業を、パブリックスペース全体まで拡げた実施コンペとして実現させた。今回はそのコンペの公開二次審査(9/15)を終えたころ、仕掛け人である相坂研介氏に加え、最優秀候補者に選定された応募者(あかるい建築計画)にも参加していだだき、具体的な事例を交えながら議論したい。また、AB研究会を中心に活動準備をしているJCDL(ジャパンコミュニティデザインリーグ)構想とも併せて、議論を深めたい。