A-Forum e-mail magazine no.78(08-09-2020)
都市計画と防災
東京都では都市計画(原案)が審議されている。同時に再開発の方針の原案についても併せて公聴会が開かれ、都区部にあっては17人の公述人の意見が2日間にわたって開陳された。大田区の仲間とともに申請し公述の機会を得た。
原案が作成されたのは、コロナの問題が現れる前ということもあり、大きな見直しが必要だと言えよう。SDGsをテーマに掲げたりはしているものの、国際ビジネス都市としての東京、再開発による整備などがうたわれ、防災や緑化も何番目かに現れるが、総花的で全体的には従来からの開発志向を進めるためのように読める。
防災を都市計画で積極的に取り上げるべきという声はありながら、それが見える原案にはなっていない。住宅地が洪水時に浸水するからの理由で公園にする、などは簡単にできないことはわかるが、少なくとも都市計画で方向を示すべきである。
自然災害を少なくする最大の方法は、ハザードを避けることである。そのような議論が、いままでの都市計画作成にあたり軽んじられてきたように思う。人口減少社会は、人と人がゆったり暮らせる社会でもある。現実にダウンゾーニングは、その土地の評価額を一時的にせよ下げる可能性を持つのでなかなか難しいように思われるが、今こそ変わるときである。これまで容積率を上げて、経済を回すことを優先にして来たことが、東京一極集中の過密を招いたのだとすると、容積率を下げられるところから下げ、緑地を取り戻すことを積極的に描くことであろう。これこそが、都市防災の計画としてわかりやすい方針になりうる。東京に限らず、都市計画の議論に、防災の視点を入れることは、大きく論じられるときである。
再開発は、特に木造密集地などで、耐震性、耐火性に劣る老朽化住宅を取り壊し、容積率一杯の高層住宅や複合ビルにする計画が少なくない。経済的に事業者に収益が見込まれるというインセンティブが大きいのであるが、地区人口増となる場合は、社会インフラが不十分で、結果的に災害リスクを増している場合もある。老朽化住宅をそのままにしておいて良いとは言わないが、低層や中層でのコミュニティ重視のまちづくりも地域ごとに検討する価値があるし、そのような計画を自治体が、地域に専門家を派遣して支援するなどの手法を考えるべきであろう。
都市計画法や建築基準法の網の目を縫うようにして再開発を成し遂げて来た実績を、これからもノウハウとして生かすというよりは、もっと根本的に人口減社会に相応しい都市計画モデルを東京から発信することを期待したい。
大田区に住んで感じるのは、駐車場が増えて、土地は細分化され、空き家もだんだん目立つようになって来たこと。緑地は減り続けている。緑地を増やすためにどうすれば良いかというのが、東京都の都市計画を考えることになったきっかけでもある。人口減は、一人当たりの土地面積が増えるのだからそれを緑にするのは理にかなっているし、防災に寄与する。再開発事業に補助金を出すよりは、むしろよほど効果的と思うのだ。
(J.K)
第34回 AF-Forum
第1回 アーキニアリング・デザイン・アワード 2020 設立記念フォーラム
2020年10月10日(土)16:00~、
オンラインにて開催
プログラム
(全体司会:宮里直也)
挨拶 斎藤公男 日本大学名誉教授/ A-forum代表
講演 「AND賞設立にむけてー選考委員からのメッセージ」 各20分
堀越 英嗣(委員長)(芝浦工業大学教授/建築家)、
陶器 浩一(滋賀県立大学教授/構造家)、
磯達雄(建築ジャーナリスト)
応募要項について (小澤雄樹)
意見交換 (司会:福島加津也)
参加方法
Zoomでの参加をご希望の場合は下記リンクよりお申し込みください。
https://ws.formzu.net/dist/S67179645/
「Zoomでの参加者が定員オーバーとなった場合はYoutubeでの視聴で構わない」場合は、右図のように参加形式両方にチェックを入れてお申し込みください。
YouTubeでのご視聴をご希望の場合は事前申し込みは必要ありません。
Youtubeおよび当HPよりご視聴いただけます。
日本学術会議公開シンポジウム /第10回防災学術連携シンポジウム
第5回 防災推進国民大会2020出展
「複合災害への備えー withコロナ時代を生きる」
日時:2020年10月3日(土)13:30~15:00
会場:オンラインにて開催。
ぼうさいこくたい特設サイトにてご視聴いただけます。
主催:日本学術会議 防災減災学術連携委員会、土木工学・建築学委員会、防災学術連携体
新型コロナウィルスの感染拡大は日本全国、全世界に及んでいます。感染症への対策は続けねばならず、この間に生じる自然災害によって起こる複合災害にも警戒が必要です。防災学術連携体(防災に関わる58の学会が日本学術会議を要として集まった組織)は、沖縄の梅雨入りが近い5月1日に、市民への緊急メッセージ「感染症と自然災害の複合災害に備えてください」を発表しました。
日本は災害の多い国であり、南海トラフ地震、首都直下地震のみならず、気候変動の激化による豪雨災害にも備えねばなりません。「withコロナの時代」に生きる私たちは、今後どのように複合災害に備えていくべきでしょうか。医療、気象、河川、地震、土木、建築、都市計画などの分野の専門家が集まり、知恵を結集して議論するとともに、一般市民への展開を図ります。
詳細は
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第33回 AF-Forum
ポストコロナの暮らしと仕事、住まいと都市
コーディネーター:和田章
パネリスト:田辺新一(早稲田大学) 、山中大学(総合地球環境学研究所)
日時:2020年8月21日(金)18:00~20:00
詳細はこちら
持続可能社会と地域創生のための建築基本法制定
建築基本法制定準備会編・ISBN978-4-9911464-0-4
本体価格:¥1500(+税)
購入お申し込みはこちら→
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建築技術2020年7月号 「代々木」からのメッセージ 1964から2020へつなぐ構造デザインの軌跡
【特集】「代々木」からのメッセージ 1964から2020へつなぐ構造デザインの軌跡
監修:斎藤公男
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神田 順
まちの中の建築スケッチ
第34回「駒沢オリンピック公園—街の中の運動施設群—」、
第35回「神保町ビル別館—解体を待つビル—」/住まいマガジンびお