和田章
日本人の平均寿命は伸び続けていて、2023年には男性81.09歳、女性87.14歳だそうですが、頑張ってもなかなか越えられません。コロナの頃から昔を振り返ることが多いのですが、YouTubeなどを通して、昔に流行った音楽に会うとその時代のことを思い出します。今年の春に偶然見つけたアメリカのヒット曲 ”ain’t no mountain high enough” Marvin Gaye & Tammi Terrell が気に入っています。「どんな高くても登れない山はない、どんな深くても渡れない谷はない、どんな広い川でも泳ぎ切れる」という歌詞で、男が好きな女性に愛を告白するとき、そこには何も困難はないことを歌っています。発売は1967年ですが、気に入った理由はデュエットの女性歌手が同い年だからです。残念ながら、1970年に24歳で亡くなってしまいました。
新幹線が開通し東京オリンピックが1964年に開催された年に、小生は大学に入りました。技術で努力すればなんでもできると思っていた頃です。ローマクラブが「成長の限界」を発表したのは1972年です。” ain’t no mountain high enough” の曲がヒットしていた頃は「なんでも挑戦しよう、地球は無限に大きい、人間の活動など小さなこと」と皆が考えていたと思います。1970年には大阪万博があり、エアードームのアメリカ館で月の石が展示され、大人気でした。
音楽は時代を写し、音楽は人々や世界を動かします。1960年代後半はフォークソングが流行っていて、ベトナム戦争反対の動きがアメリカにも広がり、戦争終結に向かいました。第二次世界大戦の頃、国民を鼓舞し士気を高めるために軍歌が多く作られました。1990年の湾岸戦争のとき、米国ではJohn Lennonの“imagine” が放送禁止になりました。
“世界に一つだけの花” でSMAP は画一的な教育と個性を無視した競争の問題点を指摘したと思います。同じように原点に戻って人々を元気にする音楽はたくさんあり、誰でも辛い時に音楽や歌に励まされたことがあると思います。
「成長の限界」が発表されてから50年以上になり、温室効果ガスの排出による地球環境の大変化の影響は非常に大きく大変です。今頃気づいても遅いと言われますが、その通りだと思います。陸地だけでなく海水の温度が高くなり、大気中の湿度とその流れも地球レベルで変化しているそうです。地球環境問題に注目しているSDGsの活動がありますが、日本では真剣さが足りず、相変わらず化石燃料による発電が大半です。アメリカも同じように無頓着と思っていましたが、そんなことはなく、民主党が強く晴天の多いカリフォルニア州では風車発電や太陽発電がすでに90%を超えていて、日が沈んだあとの夕方の電力需要に耐えられるように大型の蓄電設備をどんどん増強しています。
こんなときに最悪なことは、ロシアとウクライナの戦争、イスラエルとパレスチナの戦争です。多くの人の命を失うだけでなく、都市や建築を壊すのは悪義です。これらの国にも平和を望む音楽や歌があると思います。小生は何も力になれませんが、それぞれの国の平和の音楽と歌の力も借りて、早く戦争を終わらせてほしいと願います。
今回は最適化をテーマに最先端のお話を京大の大崎純先生にお願いし、前座として和田が撓みに注目した最適化のお話をする。
1.撓みに注目した最適化
鉄骨構造の設計では、「1」にディテール、「2」に撓み、「3、4」がなくて「5」に応力と言われる。A-Forumのフレンドの皆様は鉄骨のディテールには自信があると思う。「5」の応力、要するに壊れないための設計はパソコンを使いながら間違いなく進めていると思う。鋼材は強度が高いことに比べてヤング係数が十分でないため、「2」の撓みへの気遣い、地震時や強風時の揺れへの配慮が必須である。構造解析の結果、各接点に生じる変位と各部材に生じる応力が出力されるが、接点の変位は各部材の変形の累積であり、構造物のある点の変位を減じようとしたとき、どの部材をどのように変更したら良いか分からない。これがわかる方法があり、知らないと損する。これは長年シカゴのSOMの秘伝だった。(和田)
参考資料:How to Reduce Drift of Buildings,(Akira Wada),Fourth U.S.-Japan Workshop on the Improvement of Building Structural Design Practices by Applied Technology Council,21.1-21.17,1990. 8
2.最適化研究の最先端
建築のさまざまな分野で,最適化は特別な手法ではなく簡便なツールとなりつつあり,現在の「最適化」は,コンピュータの利用が困難であった時代の最適化とは異なる位置づけを持つようになった。本発表では,構造最適化の基本的な考え方,建築構造での特殊性などを解説し,施工性を考慮した最適化,機械学習の利用,付加製造技術との連携などの新しい流れを紹介する。(大崎)
令和6年能登半島地震と令和6年9月能登半島豪雨で顕在化した少子高齢化が進む地域における災害対応の課題を整理し、今後の広域地域災害に対する具体的かつ最低限の備えを議論する。
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