忘れてはならない

この3月11日で東北地方太平洋沖地震から3年が過ぎた。その前後のメディアは一様に震災後の被災地の現状を取り上げ、 忘れてはならないと訴えた。なかで目立ったのは、遅々として進まない復興事業に関する報道であった。現在もなお恒久的な 震災公営住宅に入居できている被災者の数は1%に過ぎず、大半の人々がいまだに仮住まいとのことである。 被災者のご苦労は、映像や活字からでも察するに余りある。構造設計を通して復興事業に多少なりとも関与している身として、心痛まないではいられない。

それに比べて原発事故のことになると、メディアがほとんどそこに立ち入ることができない上に、問題が眼に見えない 放射能災害であるせいか、正確に事態を想像することが難しい。事故後まだ3年しか経っていない現在、早くも人々の 記憶から遠のいているという。それ以前に、そもそも私たちはこの事故をしっかりと記憶しているかということすら疑わしい。 私を例にとると、3月11日(金)に徒歩での帰宅という非日常があったものの、その後土・日を挟んだ翌週は、決まったスケジュールを 淡々とこなす日常生活に戻っている。その間、福島第一原発がどれほど緊迫した状況にあったかは、後日「死の淵を見た男」 (門田隆将、PHP研究所刊)、「カウントダウン・メルトダウン」(船橋洋一、文芸春秋)などの出版物で知ることになる。

それ等によれば、東京を含めた日本の半分の地域が人間の住めない場所になるかもしれなかったこと、それを防ぐには日本の力 では手に負えず、米軍に委ねなければならなかったかもしれなかったこと、そしてそうなった場合の日本は米軍の支配下に置かれ、 独立国家としての存続が危ぶまれること等のシナリオが、日本の政権中枢部で想定されていたという。これらは現場の人達の 献身的な努力と偶然の重なりによって、瀬戸際で回避できたとのことである。 しかし今後の廃炉までの長い工程、止まらない汚染水の流失、果てしない除染作業など困難な状況が長く続くことは想像に難く ない。私たちの世代は「核の平和利用」の名のもとに、日本国内に現状で16か所の原子力発電所を建設し、59基(注)の原子炉を 後世に残したことを忘れることはできない。
(KK=金田勝徳)

(注)日本の原子力発電所-Wikipedia より

-----------------------------------------------------------------------------------------


斎藤公男先生最終特別講義
「空間構造デザインの潮流と実践ー私にとっての50年」


2013.3.3、日本大学理工学部駿河台校舎CSTホールにて開催されました。

同大学にて約25年間にわたり、毎週火曜日5時間目に「構造とデザイン」を開講されてきたきた斎藤先生の最終講義は卒業生・関係者を中心に300名以上の参加者をむかえ、理工学部宮里直也准教授の進行で始まりました。

1960年代から現在に至る空間構造デザインの潮流と実践、構造エンジニアにとってこの50年はどういう時代で あったのかを自身の研究に絡めながら時系列でお話され、講義後半では、現在に至る潮流を踏まえたうえでこれからどのように進むべきか、もの・ことづくりとはなにか、アーキニアリングデザインとはなにか、等、これからの構造デザインの礎になるべき思想と実践についてお話されました。

講義終了後には1号館2Fカフェテリアにて懇親会が開催されました。



講義詳細はYouTubeにてこちらからご視聴いただけます。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------


第1回フォーラム* テーマ:専門家として建築主に安全をどう説明するか (神田順)

定員20名、申し込み先着順 *若干の空き有。お申込みはおはやめに*
メールフォームにて申し込みをお受けしています→http://www.a-forum.info/contact/form.html
『お問い合わせ内容』に必ず第1回フォーラム参加希望と明記してください。

サブテーマ1:どのような地震に耐えることを安全と言うか。
サブテーマ2:どれだけの建築主が、自分の建物に責任をもてると考えているか。

日時:4月12日(土) 15:00-17:00、場所:A-Forum レモンパートⅡビル5階、会費:2000円

パネリスト:江尻憲泰、高木次郎

詳細はこちら

★蔵書リストを公開しました。
http://www.a-forum.info/library/よりダウンロードしてご利用ください。

★youtubeアカウント公開しました。
http://m.youtube.com/channel/UCsC5JtYoJ-MKw4QUi-gG6-Aよりご視聴ください。
*500 Internal Server Errorが表示される場合はyoutubeトップ画面より検索をお願いいたします。
当フォーラムのご利用方法
開館時間:月・火・木・金  10:00~17:30
水 14:30~17:30
★展覧・図書閲覧については上記時間帯であれば自由にご利用いただけます。

★勉強会、会議などの会場としてご利用をご希望の場合は当フォーラム、コアメンバー斎藤・和田・神田・金田いずれかにご連絡の上、会場のご予約をお願いいたします。(上記時間外でのご利用も可能です。)

備品につきましては別途お問い合わせください