2000年代以降、コンピューター技術の急速な発展は、建築の設計・構造・生産のあり方を大きく変えてきた。コンピュテーショナルデザインやBIM、デジタルファブリケーションの普及によって、複雑な形態の解析や生成、設計情報と製作の連携など、これまで困難であった試みが現実の建築として可能になっている。
さらに近年では、AI・生成AI、デジタルツイン、ロボティクスなどの進展によって、コンピューターは単なる解析や表現のための「道具」から、形態を探索し、環境を認識し、設計から製作・施工にまで関与する存在へと変わりつつある。一方で、建築はあくまでも素材と力学に支えられ、人の手によってつくられ、身体によって経験される実体でもある。
こうした状況のなかで、構造と形態を探究する佐藤淳、デジタル技術によって設計と生産をつなぎ「建築の民主化」を試みる秋吉浩気、BIM・XR・デジタルツインからAIへと建築・都市の情報化を研究してきた福田知弘、それぞれの実践と研究を通して、デジタル技術が建築の「設計すること」「つくること」「経験すること」をどのように変えようとしているのかを考える。(松永直美)