第30回
建築構造設計に関わる基・規準の行方 ―その2 
現行法基準の問題点を解決・改善するために目指すべき法基準の姿(仕様規定型設計法から性能規定型設計法へ)―


コーディネーター:金田勝徳
パネリスト:大越俊男(元 日本設計)、五條渉(日本建築防災協会 参与)、常木康弘(日建設計 取締役兼常務執行役員)

日時:2019年11月14日(木)17:30~
場所:A-Forum
参加費:2000円(懇親会、資料代)
参加申し込み:こちらのフォーム よりお申し込みください。
*「お問い合わせ内容」に必ず「第29AFフォーラム参加希望」と明記ください。

建築基準法は、前身となった市街地建築物法が1919年に制定されて以来、今日までの100年の間に改正が繰り返されて現在に至っている。とりわけ後半約40年間の改正は目まぐるしく、1981年の新耐震設計法の導入以来、改正の度に構造設計に係る技術基準が増え続けている。

2000年には「性能規定化」が行われたが、同時に確認・検査の民間開放が行われたため、技術基準は、関連する解説書などを含め、より具体化・詳細化される方向となった。これらは、一貫計算プログラムへの依存度の高まりなど、設計のあり方そのものにも大きな影響を与えている。続く2005年の構造計算書偽装事件をきっかけとした2007年、2008年の法改正では、偽装事件の再発防止に加えて、同時に明らかとなった不適切なモデル化の横行等への対策として、法の運用の厳格化、違反に対する罰則の強化が目指され、手続き関係の規定や基準がより一層細かくなった。同時にピアレビューの考え方を踏まえた構造計算適合性判定制度や、構造設計一級建築士制度が導入された。しかしそれらの結果として、限界を超えて詳細で複雑なものとなった法基準によって不自由と感じている設計者はいても、構造設計者が責任や能力を十分に発揮できるような環境作りが進んでいるとか、法体系があるべき姿に近づいているという声は聞いたことがない。

そこで当フォーラムでは、フォーラムの4回に一度の割合で、改めて現在の構造設計に関する法制度を問い直し、これからのあるべき姿を考え、さらにはその姿に近付けるためにはどうすれば良いかを全3回の予定で議論することとした。第一回目は、今年2月に表題テーマの「その1 現行法基準の問題点を考える」を、神田順、五條渉、土屋博訓の方々をパネリストにお招きして開催した。

当日はフォーラム参加者も交えて白熱した議論が展開され、様々な視点から今生じている、ないしは今後生じることが予想される法基準の問題点の洗い出しを行った。その結果、全体の流れとしては、現在の仕様規定型を中心とした設計法から、性能設計型への移行がこれからの法基準のあり方にではないかという方向性が見えてきた。そこで今回は「その2」として、性能設計に関する論議を中心に話題を展開したい。

当日はやや重いテーマではありますが、設計のBIM、AI化を間近にした今、多くの皆様と忌憚のない意見交換ができることを願っております。